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他の動物デグー

デグーは頭がいいって本当?3歳児くらいの知能を持つげっ歯類

伊藤 悦子
伊藤 悦子 家畜人工授精師 、ペット栄養管理士

近年ペットとして大変人気があるデグーは、芸を覚えたり道具を使ったりする頭がいい動物で、人間の3歳程度の知能があるといわれています。さらにさまざまな鳴き声を使い分けて仲間とコミュニケーションを取るため、「アンデスの歌うネズミ」とも呼ばれるほど社会性が高いのも特徴です。

そこで今回はデグーの頭の良さがわかるエピソードや研究結果などをご紹介します。すでに飼っている方も、これから飼いたい方もデグーの理解を深める参考にしてください。

デグーとは?アンデス原産のげっ歯類

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まずはデグーがどのような動物かについて解説します。デグーは、南米チリのアンデス山脈原産のげっ歯類です。

デグーの外見

体の大きさは約20センチ、体重は200~300グラムです。長い尾の先端は広がっている特徴が、楽器のトランペットのように見えるため「トランペットテイル」と呼ばれます。

体毛の色は全体的に茶色っぽいアグーチ(1本の毛に複数の色が混ざった自然な茶色)で、お腹の部分はクリーム色をしている個体がノーマルカラーです。

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イラスト:GeminiによるAI生成

「ノーマルパイド」といって白っぽいブチ模様が入る子もいます。そのほか青みがかったグレーの「ブルー」やブルーにブチ模様が入った「ブルーパイド」、全体的に黒い「ブラック」、「ホワイト」など珍しいカラーのバリエーションも増えてきました。

デグーの食性

完全草食動物で、昆虫などは食べません。野生下ではイネ科の植物や低木の皮、種、葉などを食べています。サボテンの果肉を食べる場合もあるようです。

起きている時間は、ほぼエサ探しに費やしています。ペットの場合は牧草やデグー用ペレット、キャベツやニンジンなどの野菜を与えます。

デグーの性格

今回紹介する頭の良さとも関連しますが、デグーは好奇心旺盛で人懐っこいという特徴があります。名前を呼ぶと反応したり、人に懐いたりするという個体もいるほどです。群れで生活しているため、人を仲間だと認識してくれることもあります。

ただし、デグーにも個性があるため、懐きやすい個体もいれば、警戒心が強い個体もいると認識しておきましょう。

デグーの子育ては人間に似ている?

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デグーは野生下では10~20匹程度の群れを作って生活する動物です。そのため、コミュニケーション能力が高いことで知られています。社会活動や子育ての面で人間と共通点があるため、絆に関する研究などにもよく使われています。

授乳期間が長い

デグーはラットなど他のげっ歯類よりも授乳期間が長い点が特徴です。離乳はラットでは約3週齢ですが、デグーは4週齢から6週齢となっています。

授乳期間が長いということは、母親の養育態度が子どもの情動や行動に深く関与し、その重要性も高まるのではないかと予想されます。そのためデグーは、人間の母子関係における絆やコミュニケーションを理解するためのモデルとして期待されているのです。

ある研究では、授乳を放棄された子デグーは、恐怖心が強く活動性が低いといった結果が得られました。

実はデグーの赤ちゃんは、歯が生えて被毛も生えそろった状態で生まれてきます。生まれた翌日には、歩行も可能です。それなのに授乳期間が長い点が、ラットやマウスと異なります。

ちなみにラットやマウスの赤ちゃんは毛も生えていません。生後間もないうちは自力で歩けないため、母親が子の首の後ろを口でくわえて移動します。それなのに授乳期間は短いのです。

同じげっ歯類として外見はなんとなく似ているのに、出生時や育児状況が異なるのは興味深いですね。

メスとオスが協力して子育て

デグーは母親だけでなく、父親も育児に参加するという点が大きな特徴です。人間以外の哺乳類で父親が子育てをするのは大変珍しいといえます。

母デグーと父デグーの養育行動の関係では、母デグーが子どもに寄り添う時間が短くなると、父デグーが寄り添う時間が長くなるという研究結果もあります。つまり、両親が補い合って子育てをしているということが考えられるでしょう。

メスは自分の子だけでなく、群れの中にいる他の赤ちゃんデグーにも授乳する行動が見られる点も特徴です。

母親と子どもは互いを認識している

デグーは母親も子どもも、お互いを認知しているという研究結果もあります。母子を引き離したあとに再会させると、子どもの発声が増えたということです。

デグーの母親は、群れにいる他の子にも授乳しますが、授乳時間などは自分の子と他の子で差はありません。ニオイによって自分の子を識別していることがわかっています。

さらに、母デグーの養育態度が子に与える影響があることも、研究で明らかになりました。

デグーのコミュニケーション

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デグーは、鳴き声の意味や鳴くべきシーンを学習するといわれています。デグーは17種類以上もの鳴き声を使い分けて仲間とコミュニケーションを取る動物です。

鳴き声を学習する

例えば、仲間との毛づくろいの時の声、母子間で触れ合う時の声、危険を認知した際の声などがあります。

危険を認知した鳴き声を聞けば、デグーは当然警戒するはずです。しかし、生後1ヶ月以内の幼齢だと一瞬動きを止めてもまた遊びだすという研究結果があります。つまり、幼若だと声の意味を学習できていないということ。成長にしたがって「危険を知らせる声だから警戒しなくては」と認知するようになるということなのです。

また、一部の鳴き声については、発するべきシーンを学習するといわれています。それが求愛の鳴き声です。

覚えた当初は、求愛のシーン以外でも求愛の声で鳴くことがあります。しかし、徐々に求愛の時だけ鳴くようになるのです。つまり「鳴くべきシーン」を学習していることになります。

デグーの高い認知能力

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デグーはロシアのマトリョーシカ人形のような「大きい箱に小さい箱を入れる」入れ子構造を理解しています。訓練をすると道具を使ってエサを取ることもできたという実験結果もあります。

デグーは入れ子構造を理解している

この「入れ子構造」は一見すると単純に見えますが、この構造が理解できる生き物は人間以外ではほとんどいません。いまのところチンパンジーが入れ子を理解できますが、訓練が必要です。ところがデグーは自発的にできると考えられています。

これを見つけたのは、動物行動学者の岡ノ谷一夫先生です。先生はもともとデグーの音声について研究していました。その中でデグーが後ろ足で立ち、前足を使って大きな砂浴び容器、中くらいのエサ容器、小さなボールを順番に入れていく行動をたまたま発見したのです。これは容器をひとつずつ入れていく「ポット方式」と呼ばれる入れ子です。

ちなみに、中小の容器を先に重ねてから大きな容器に入れる「サブルーティン方式」はやらなかったそうです。実はサブルーティン方式ができるのは人間だけといわれています。

人間の子どもでは、入れ子構造の理解は言語発声の時期と重なるとされていますが、声でコミュニケーションを取るデグーにも何か関係があるのかもしれません。

デグーは道具を使える

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岡ノ谷先生はデグーが入れ子構造を理解していることから、「道具を使えるのでは?」と推測しました。そこで2008年に理化学研究所脳科学総合研究センターで、デグーに「熊手を使って遠くにあるエサを取る」訓練を行ったのです。

結果として、実験に使った6匹のデグーは最終的に熊手を使って遠くのエサを取れるようになりました。「道具を使うと何が起こるか」という関係性を理解できているということになります。

実は道具を使える動物は人間やサル、カラスなど、一部の動物だけだといわれていました。この研究によって、げっ歯類であるデグーも道具を使えることがわかったのです。

しかも、歯がないニセモノの熊手を置いておくと、ちゃんと歯がある熊手を選ぶこともできました。つまりデグーは、外見から「使える道具と使えない道具を判断できる能力がある」と推測できます。

げっ歯類が道具を使えるとは考えられなかったので、大変画期的な研究結果だといえるでしょう。

デグーは芸も覚えられる

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デグーは好奇心旺盛で人懐っこいので、訓練によって芸を覚えさせることが可能です。

「名前を呼んで反応したらおやつを与える」といったシンプルな方法の他、クリッカートレーニングで教える方法もあります。カチッと音がなるクリッカーという道具で、犬や猫、イルカなどの訓練に使われます。

「カチッとならしておやつを与える」からスタートして、クリッカーと嬉しいことを関連付けていく方法です。クリッカートレーニングはある程度、デグーと仲良くなってからの方が訓練しやすいでしょう。

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頭がいいからこその飼育上の注意点

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デグーは群れで暮らす動物で、頭がいいという特徴があります。飼育する際は退屈させないよう、しっかり遊んであげましょう。ただし、道具を使わせるような高度な芸については、無理強いは禁物です。

デグーと遊ぼう

こまめに声をかけたり一緒に遊んだりして、孤独感を与えないようにします。デグーが心を許してくれるなら、撫でるなどスキンシップも有効です。

「ひとりぼっち」で「退屈」な暮らしはストレスを与えます。群れで暮らすデグーがひとりぼっちでケージの中にいるのは、大きなストレスです。

可能なら多頭飼いも検討しましょう。鳴き声でコミュニケーションをとる様子も観察できます。ただし、オス同士だと縄張り争いをする恐れがあります。メス同士を飼育するか、ケージを分けるかなどの環境作りが必要です。

無理強いしない

デグーに人馴れや芸を押し付けないことも大切です。無理強いはデグーにとってストレスですし、体調不良を招く恐れもあります。

思い通りにいかず焦ってしつこく懐かせようとしたり、芸を覚えさせようとしたりするのはNGです。

デグーにも個性があり、大胆な子もいれば臆病で慎重な子もいます。芸を覚えない子もいるでしょう。「うちの子はこういうタイプ」と認識し、個性を丸ごとかわいがることでデグーも飼い主さんも幸せになれるはずです。

デグーを退屈させない工夫と個性を大切に

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デグーはアンデス原産の小さなネズミの仲間ですが、大変頭がいいことで行動の研究などにも使われています。大きな器に小さな器を入れるといった「入れ子構造」を理解し、道具を使ってエサを取るといった、他の動物ではなかなかできないこともできてしまうのです。

また、人間と似たような家族関係を持つ点から、親子の絆の研究にも使われています。

頭がいいデグーだからこそ、退屈させないような配慮が必要です。群れの仲間として飼い主さんが一緒に遊んだり、こまめにお世話したりすることも欠かせません。人馴れや芸を無理強いせず、デグーの個性を大切にしてくださいね。

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