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ウサギの食事は何をどう与える?元気に長生きさせるために大切なこと

伊藤 悦子
伊藤 悦子 家畜人工授精師 、ペット栄養管理士

ウサギの食事は「どんなフードをどのくらい与えればよいのか」などが気になりますよね。適切な食事を与えることは、ウサギの健康状態の維持に大きく関わります。

この記事では、ウサギの食性や食事について解説します。大切なウサギを元気で長生きさせるためにも参考にしてください。

ウサギの食性と消化の特徴

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まずは、ウサギの食性を知っておきましょう。ウサギは完全草食動物です。

自然界にいるノウサギは「メヒシバ」といったイネ科の植物や「オオヨモギ」などのキク科の植物を食べています。草の葉があまりない冬には木の葉や樹皮なども食べるようです。草食動物なので昆虫などは食べません。

ウサギというと「ニンジン」のイメージがありますが、ニンジンばかりを食べているわけではないのですね。

ウサギは歯が伸び続ける動物

食事には「歯」も大切な要素の一つ。ウサギの歯は生涯にわたって伸び続ける「常生歯」です。

「切歯(せっし)」と「臼歯(きゅうし)」で食べた植物を消化しやすくなるように噛み砕きます。噛み砕く動作が、歯を適切な長さに削ることにつながるのです。

切歯で草をちぎる

口の手前、上下に見える2本の歯が「切歯」です。切歯を使って、草などを食いちぎるのです。

実は、上あごの2本の切歯の裏にもさらに小さな歯が生えています。ウサギが「重歯目」と分類されるのはこのためです。

前側の大きな切歯が「第一切歯」、奥の小さな切歯が「第二切歯」と呼ばれています。

臼歯で噛み砕く

食いちぎった草を、奥歯でさらに細かく砕きます。ウサギの奥歯である臼歯は上の左右に6本(前臼歯3本、後臼歯3本)、下の左右に5本(前臼歯2本、後臼歯3本)です。

ウサギは上下の歯をすり合わせるようにしっかり左右に動かしながら、繊維の多い植物を食べます。こすり合わせることで、歯は適切な長さに削れるのです。

ウサギの消化管はとっても長い

食べた植物が入っていく「消化管」についても見ていきましょう。ウサギは繊維質の多い植物から栄養を取るため、消化管が長いのも特徴です。

どのように食べ物が移動していくのか簡単に説明します。

硬い便と盲腸便に分かれる

胃に入った食べ物は小腸に移動して消化され、繊維以外の栄養が吸収されます。そして繊維質は大腸に運ばれていきます。

大腸の入り口では粗い繊維が硬い便として排出され、細かい繊維や液体は盲腸に移動していきます。

盲腸にいるバクテリアが繊維を分解、発酵させることでタンパク質やビタミンが生成されるのです。これが盲腸で作られる「盲腸便」です。

盲腸便を食べて栄養補給

丸い小さな粒状のものがいくつかまとまっていて、やわらかいのが盲腸便の特徴です。盲腸便にはタンパク質やビタミンが含まれています。ウサギは盲腸便を食べることで栄養を摂取しているのです。

「フンを食べる」というと人間にとっては抵抗があるかもしれませんが、大切な栄養源なのですね。

ちなみにウサギは盲腸便を肛門から直接食べるので、ケージに落ちていることはほとんどありません。そのため、人の目に触れることはあまりないでしょう。

一方で、盲腸便がケージにたくさんあるときは、なんらかの健康上のトラブルがあると考えられます。

ウサギのメインの食事は「牧草」

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完全草食動物であるウサギには、牧草をメインで与えます。牧草は大きく「マメ科」と「イネ科」の2種類に分けられます。さらに、おやつにおすすめの牧草をキューブ状にまとめた「牧草キューブ」もあります。

マメ科は成長期のウサギに与える

マメ科は「アルファルファ」などが有名です。タンパク質やカルシウムが豊富に含まれているので、栄養を必要とする成長期の子ウサギや妊娠・授乳中のウサギに与えます。

生後7か月を過ぎて体が大人になったり、妊娠・授乳期を終えたりしたら、イネ科メインの食事に切り替えましょう。マメ科の牧草を与え続けると栄養過多になり、尿路結石や肥満を招く恐れがあるので、注意が必要です。

イネ科はいつでもたっぷり好きなだけ与える

イネ科の牧草は、ウサギがいつでも好きなだけ食べられるようにします。食べ過ぎということはないので、たっぷり与えて大丈夫です。

イネ科の牧草は「チモシー」や「オーツヘイ」などの種類があります。繊維もたっぷりで噛み応えがあり、ウサギの歯の伸び過ぎ予防に効果的です。ウサギによって好みもあるので、いろいろ与えて好みを探ってみましょう。

イネ科の牧草チモシーは刈り期で味が変わる

イネ科の牧草であるチモシーは、低カロリーかつ繊維質が豊富でウサギにぴったりです。特にチモシーは流通量が多くドラッグストアやホームセンターでも売っているので、手に入りやすい点もメリットです。

チモシーはシーズン中に刈り期が3期あり、それぞれの時期で硬さや栄養素が多少異なります。

一番刈り

シーズンで最初に刈るチモシー。たんぱく質やミネラルなどの栄養分、繊維質が豊富でおすすめです。

二番刈り

一番刈りのあとに再び生えてきたチモシーを刈ったのが二番刈りです。栄養価も繊維質も一番刈りに比べるとやや劣りますが、やわらかいため好むウサギもいます。

三番刈り

二番刈りのあとに成長したチモシーで、色も茶色がかっていて栄養素も繊維質も劣ります。やわらかいため、嗜好性は高めです。

チモシー以外のイネ科の牧草

チモシー以外の牧草についても紹介します。販売されていたら与えてみて好みを探ってみるのもいいですね。

オーツヘイ

和名は「エン麦(ばく)」で、オート麦などと呼ばれることもあります。糖質がやや多めで、嗜好性も高いでしょう。

オーチャードグラス

和名は「カモガヤ」です。雑草のように草むらに生えている場合もありますが、野生のものは農薬や他のペットの尿がついていることも。ウサギに与えるなら販売されているオーチャードグラスの方が安心です。

イタリアグラス

和名は「ネズミムギ」です。日本で栽培されており、栄養価、嗜好性ともに高い牧草です。

クレイングラス

アフリカ原産の牧草です。カリウムが豊富です。

キューブタイプの牧草はおやつにおすすめ

牧草をキューブ状に固めたもので、遊びながら食べられる点が特徴です。牧草に慣れていないウサギや、牧草に飽きてきたウサギへの気分転換など、おやつにおすすめです。

牧草はフィーダーを使うと便利

牧草は「牧草フィーダー」に入れて与える方法がおすすめです。ケージに掛けるタイプならウサギが口でくわえて引っ張り出しながら食べられるため、ストレス解消や退屈防止につながります。

ただし、子ウサギや高齢ウサギの場合、引っ張り出して食べることが負担になることもあります。

そのような場合は、無理なく食べられるように、ケージの床に置くタイプを選ぶとよいでしょう。ケージに固定できるタイプであればずれないので、さらに食べやすくなります。

ただし、床に置くタイプは中に入って排泄してしまう子もいるので、こまめなチェックが必要です。

牧草を食べないときは

ウサギはときどきワガママになることもあります。特に健康上の問題がないのに牧草を食べない場合は、次のような対応をしてみてください。

  • 牧草フィーダーを変更する
    • 床に置いたり引っ張り出すタイプにしたりなど、いろいろ試してみる。床に落ちた牧草は食べないウサギもいる。
  • フレッシュな牧草にする
    • 時間が経った牧草を好まないウサギは意外に多い。
  • 品種やメーカーが異なる牧草を混ぜてみる
    • 好んで食べる牧草があれば変更する。
  • 数時間牧草とお水だけの状態にする
    • しぶしぶ牧草を食べるウサギもいる。ただし、何も食べない状況が続くと危険なので、数時間に留める。

いろいろ試しても食べない場合は、動物病院に相談しましょう。歯やお腹にトラブルを抱えているケースもあります。

補助的にウサギに与える「ペレット」

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牧草に加えて、ウサギ専用のペレットも与えます。

ペレットの種類

ライフステージに合ったペレットを与えると栄養の面でも安心です。オールステージタイプもあります。

このほか、ネザーランドドワーフなど品種専用のフードも販売されているので、飼っているウサギの種類に合わせるのもいいでしょう。

子ウサギ用(生後7か月あたりまで)

成長期は体づくりが最優先となるため、子ウサギ用ペレットを選びます。

成体用(だいたい生後6か月以降から)

成体期は牧草を主食にしつつ、栄養バランスの取れた成体用ペレットを補助的に与えます。

高齢用(5歳あたりから)

高齢期には消化しやすく健康維持を意識した、シニア向けペレットが適しています。

オールステージタイプ

ライフステージの切り替えが難しい場合や、多頭飼いの場合には、全年齢対応のオールステージタイプも便利です。

品種専用タイプ

品種の特徴を考慮した専用フードを選ぶことで、より細かな配慮がしやすくなります。

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ペレットの与え方

ペレットの量や回数、与え方のコツを紹介します。

与える量

パッケージには、1日当たりどのくらい与えるかが表示してあります。まずは表示通りに与えてください。

適切な量がわからない場合は、動物病院で相談することをおすすめします。

与える回数

薄明薄暮の動物なので、朝と夕方の1日2回の食事がおすすめです。常にお皿に入れておく必要はありません。

食べ残しがある場合は、そのまま継ぎ足さず、新しいものに取り替えましょう。

ペレットを与えるお皿

ペレット用のお皿は、重みのある陶器製がおすすめです。または、ケージに取り付けるタイプもよいでしょう。ウサギは気に入らないとエサ入れをひっくり返すことがあるためです。

こまめに洗って清潔を保ってください。

いろいろなペレットに慣れるのも大切

複数のペレットを与える方法もおすすめです。これはいろいろなブランドのペレットに慣れさせる目的があります。メーカーの製造中止や、いつものペレットが手に入りにくくなる災害時などのトラブルにも対応できて安心です。

ただし、ペレットの種類を突然全部変えると、お腹の調子が悪くなることがあります。1週間から10日ほど時間をかけて、徐々に変更してください。

ウサギとのコミュニケーションに役立つ「野菜」

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ときどき野菜も与えることも大切です。新鮮な野菜はビタミンやミネラル摂取にもなりますし、水分の補給にもなります。また、飼い主さんとのコミュニケーションにも役立ちます。

ただし、食べ過ぎは下痢などの原因になるので注意してください

ウサギに与えてもよい野菜は次の通りです。

  • 小松菜
  • チンゲン菜
  • ブロッコリー
  • 大根の葉
  • 水菜
  • ラディッシュ
  • シュンギク
  • ニンジン
  • キャベツ

複数の種類の野菜を食器に入れて食べさせてあげましょう。しなびた野菜は放置せずに処分してください。

生の野菜を用意できない場合は、市販の乾燥野菜を与えても大丈夫です。

おやつは少量で「コミュニケーション」に役立てる

ウサギとのコミュニケーションのためにもおやつを与えるのもよいでしょう。あくまでもコミュニケーション用なので、メインでたくさん食べさせないようにします。

おやつにおすすめなのが「果物」や「市販のウサギ用おやつ」です。ウサギに与えてもよい果物は次の通りです。

  • りんご
  • イチゴ
  • バナナ
  • パパイヤ
  • ブルーベリー

嗜好性が高いのでたくさん与えたくなりますが、糖分が多く肥満を招くので、食べ過ぎには注意が必要です。

ウサギの水分補給と水の与え方

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食事ではないものの、水も大変重要です。新鮮な水をウサギがいつでも好きなだけ飲めるようにします。

ウサギは水をたくさん飲む動物なので、切らすことのないように注意してください。水は水道水で大丈夫です。

ケージに取り付ける給水ボトルタイプか、お皿付きの給水ボトルタイプなら水入れをひっくり返すこともありません。

給水ボトルタイプ

給水ボトルタイプは、飲み口のボールが固まることがあるのでときどきチェックしましょう。

給水ボトルお皿タイプ

上を向いて飲む給水ボトルタイプは、高齢ウサギにとっては辛い場合があるのでお皿タイプがおすすめです。

ウサギに与えてはいけないもの

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次の食品はウサギには絶対に与えないでください。体調不良や命に関わる状況になる恐れがあります。

ウサギは嘔吐できない動物であり、毒物を吐き出せません。ウサギが食べてしまわないように、お部屋で遊ばせる際はきちんと片付けることも大切です。

野菜類

  • ネギ類全般(タマネギ、長ネギ、ワケギなど)
  • ニンニク
  • ニラ
  • ジャガイモの芽、緑の皮
  • アボカド
  • 生の豆(インゲンマメなど)
  • ナッツ類(ピーナッツなど)

その他

  • 人間用のおやつ
  • チョコレート
  • お酒
  • カフェイン飲料(コーヒーや紅茶など)
  • 牛乳(※子ウサギにミルクを与える場合は、牛乳ではなくペット用を与えます。)

万が一上記の食品類を食べてしまった場合は、急いで動物病院を受診します。「何をどのくらい食べたか」を伝えることも大切です。食べ残しがあれば一緒に持って行きましょう。

ウサギに食事を与えるときのコツや注意点

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ウサギはデリケートで、食事にこだわりを持つ子もいます。食べている様子を普段からよく観察することがポイントです。

ウサギの好みを把握する

ウサギにはそれぞれ個性があり食べ物の好みもさまざま。たとえば次のような行動をチェックしてみましょう。

  • 一番刈りのチモシーが好き
  • 落ちた牧草は食べない
  • 牧草は引っ張って食べたい
  • ○○ブランドのペレットが好き
  • ペレットは人の手から食べたい
  • 特定の野菜が好き

自分のウサギの好みを把握すれば、適切な食事を与えられるはず。普段と異なる異変にも気づきやすいので、いろいろと試しながら好みを探っていきましょう。

牧草やペレットは適切に保存する

ウサギが食べる牧草やペレットの管理も重要です。湿気や高温にさらされないように注意しましょう。

チャック付きのパッケージに入った牧草やアルミパッケージに入ったペレットを選ぶのもおすすめです。カビが生えるなど、劣化した牧草やペレットは食べさせずに処分します。

食欲が落ちたときは動物病院に

ウサギの食欲が低下した際は、様子を見るのではなく、早めに動物病院を受診しましょう。歯のトラブルである不正咬合や消化管うっ滞という病気の恐れもあるためです。

元気がなかったり、便が急に小さくなったりなども体調不良のサインなので、変化を見逃さないようにします。

ウサギの食事のまとめ

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ウサギが元気で長生きするためにも、食事については飼い主さんがしっかり管理する必要があります。

ウサギは完全草食動物であり、歯が伸び続ける動物です。繊維質から栄養を摂る必要があるため、食糞をするという特徴もあります。

しっかり繊維質が取れるように、チモシーなどイネ科の牧草をメインに与えましょう。さらに、栄養の補給の意味でウサギ用ペレットや新鮮な野菜を与えることも大切です。

甘い果物やウサギ用おやつは食べ過ぎると肥満の原因になるので、コミュニケーション用など、ときどきに留めましょう。食べ物や食べ方の好みを知っておくこともポイントです。

ウサギの食欲が低下した場合は早めに動物病院を受診してくださいね。

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