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コラム

イベントの獣医師体験ブースとは?実際に出展した体験談を紹介

望月 美緒
望月 美緒 獣医師

先日、夫と私は地域の体育館で開催されたNPO法人主催の「おしごと体験イベント」に獣医師体験ブースを出展しました。

このイベントは、フリースクールや子ども食堂を運営しているNPO法人が主催し、地域の子どもたちにさまざまな職業体験を通じて「はたらくこと」を身近に感じてもらうことを目的としたものです。

夫は動物病院を開業して10年になります。主催者と以前からの知り合いだったご縁で声をかけてもらいました。

獣医師はおうちでペットを飼っている子どもにとっては身近な職業かもしれませんが、そうでなければあまり接することもない職業です。動物好きな子や、将来の夢について考えはじめた子どもたちにとって、何かのきっかけになればと準備から当日まで夫婦で取り組みました。

この記事では、準備の内容や当日の様子、子どもたちの反応などをレポートします。

当日までの準備:わかりやすさと楽しい体験を重視

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今回の体験で大切にしたのは、「子どもにとってわかりやすく、興味を持ちやすい実習」を取り入れることです。獣医師の仕事は専門性が高く、特に未就学児や小学校低学年の子どもにとっては難しく感じられるでしょう。

そのため、最初は導入として「動物のお医者さんはどんなお仕事?」という短い講義を行い、その後で体験に移る構成にしました。講師は夫が担当し、約15分のスライド資料をパソコンの画面に映しながら話をすることにしました。

体験内容は「見る」「聞く」「触る」をバランスよく取り入れることで、年齢を問わず楽しめるように工夫しました。

写真やイラストを使ったスライドを作成

講義用スライドの内容は、以下のような構成です。

  • 動物病院ってどんなところ?
  • 動物病院ではたらく人
  • 動物病院の1日
  • 動物病院にはどんな部屋があるの?

かわいい動物の写真やイラスト、動物病院で撮影した診療中や手術中の写真、入院室や手術室の写真をふんだんに使い、子どもたちが獣医師の仕事をイメージしやすいよう心がけました。

また、少し年齢が高めの子向けに、以下のようなテーマのスライドも用意しました。

  • 獣医さんになるには?
  • お仕事で大切にしていること

実際の体験に入る前に、興味の土台づくりにつながったと感じています。

今回は中学生以下の子どもたちを対象としたイベントでした。そのため、本格的に進路を考える高校生以上に向けた現実的な話ではなく、以下のような勉強以外に普段の生活で子どもたちに大事にしてほしいことをスライドに取り入れました。

  • 動物にやさしくしよう
  • 図鑑を見たり、動物園に行ったりして動物のことをたくさん知ろう
  • 仕草や声で相手の気持ちを読み取れるようになろう

これらのスライドの後に、以下のような実習の内容をわかりやすく解説したスライドを加えました。

  • 心臓の音の秘密
  • 音の違いを聴き比べよう
  • はたらく細胞を探してみよう

スライドは、小学生でも読めるように難しい漢字や表現はできるだけ使わないようにして、ふりがなも付けました。当日はすべてのスライドを印刷し、有孔ボードに貼って掲示しました。ブースの外から見ている保護者や通りがかりの方にも内容が伝わるよう工夫しました。

実習①:ぬいぐるみで心音を聞く

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獣医師は心音を聴診し、正常な音と異常な音(雑音)を聞き分けることで、心臓の病気の有無や病名を判断します。今回の体験では、健康な犬と心臓病の犬、それぞれの心音を用意し、聴診器で聴き比べる体験をしてもらいました。

本物の犬を連れて行くことは難しいため、ぬいぐるみにスピーカーを仕込み、心音を再生する方法を採用しました。

用意したのは、チャック付きのぬいぐるみ型ペンケースです。中にスピーカーを入れ、スマートフォンから音源を流せるように設定しました。イベント会場ではステージ発表やダンスなどもあり音が大きかったため、音量を調整できたのはとても助かりました。

小さな子どもたちは白衣を着て聴診器を手に持つだけでワクワクした様子です。聴診器は普段触ることがないため、自分の心臓に当てて聞いていました。「心臓の音の違い、わかるかな?」と聞くと、「わかる!!」と元気に答えてくれる子もいました。

実習②:顕微鏡で「はたらく細胞」を観察

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顕微鏡実習では、犬の血液塗抹標本(スライドガラス上に血液を薄く塗り広げたもの)を使い、赤血球・好中球・リンパ球・血小板を観察してもらいました。

テレビや映画で『はたらく細胞』というアニメが話題になっていたこともあり、見覚えのある名前に親しみを持ってくれた子もいました。

顕微鏡は業者さんから5台をレンタルし、同時に6名の子どもが参加できるようにしました。未就学児にとってはやや専門的な内容でしたが、保護者の方々も一緒に顕微鏡をのぞき込み、見える細胞に驚いていたのが印象的でした。

実習③:マイクロチップを読み取る

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マイクロチップは、固有の識別番号が記録された小さなカプセルで、ペットの体内に埋め込みます。

番号を読み取り、登録された飼い主の情報などを確認することで、迷子や災害時のペットの身元確認に役立つ仕組みです。2022年6月からは、ペットショップやブリーダーで販売される犬猫への装着が義務化されています。

今回はぬいぐるみに実際に使っているマイクロチップを埋め込み、専用のリーダーで15桁の番号を読み取る体験をしてもらいました。小さな子どもにも操作でき、体内に「外れない迷子札」があることを、視覚的に伝えることができました。

会場の様子と子どもたちの反応

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当日は8つのお仕事体験ブースに加え、縁日やフリーマーケットなどの遊びエリア、ステージ企画やキッチンカーもあり、会場は活気ある雰囲気に包まれていました。

お仕事体験ブースは私たちの獣医師体験以外にも、以下のようなものがありました。

  • 地域の薬剤師会による薬剤師体験
  • ラジオパーソナリティによるアナウンス体験
  • ボーイスカウトの活動体験
  • とび職の足場体験

随時体験を受け付けていた薬剤師の調剤体験や、高さ10mの足場を登るとび職体験はとても人気がありました。

近隣で大型イベントが同時開催されていた影響もあり、来場者数は予想よりもやや少なめでした。また、一番多いと想定していた「小学校中学年〜中学生」よりも、実際に来てくれたのは未就学児が多く、顕微鏡や細胞の話はやや難しかったかもしれません。

子どもよりも保護者のほうがスライドの写真や顕微鏡で見える細胞に興味を持ってくださっていた印象です。

一方で、「白衣を着て聴診器を持つ」「心音を聞く」などの体験は、年齢に関係なく楽しんでもらえました。笑顔で「おもしろかった!」と言ってくれる姿は、何よりの喜びでした。

獣医師体験ブース出展の反省点とまとめ

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今回の出展を通じて、子どもたちに「獣医さんの仕事って何だろう?」というきっかけを届けることができたと感じています。専門的な内容でも、伝え方を工夫すれば「おもしろい」「もっと知りたい」という関心につなげられることを実感しました。

本番では、子どもの年齢や興味に合わせて柔軟に対応する「臨機応変さ」が求められました。想定よりも子どもたちの年齢が低かったことから、その場で説明の仕方や内容を調整する場面が多くありました。

私たちの市でこのようなおしごと体験イベントが開かれたのは今回が初めてで、準備も手探りの連続でした。しかし、キッザニアのような職業体験施設が人気を集めているように、実際にその仕事をしている人の話を聞いたり、少しでも体験ができたりすることは、子どもたちにとって貴重で刺激的な経験になると感じました。

私たち自身もまた、こうした機会に積極的に関わりながら、子どもたちの好奇心や「やってみたい!」という気持ちに応えていけたらと思います。

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