犬や猫がテーマのクラシック音楽の名曲は?愛犬家・愛猫家の作曲家も紹介
クラシック音楽には、犬や猫がテーマになっている名曲があります。また、作曲家の中には熱心な愛犬家や愛猫家もいました。中には「超」がつくほどの愛犬家も。
今回は、犬や猫に関連するクラシックの名曲や、愛犬家・愛猫家の作曲家をご紹介します。作曲家の犬や猫への思いを馳せながら聴くと、新たな発見があるかもしれません。
犬が関連するクラシックの名曲
犬が関連するクラシックの名曲をご紹介します。多くの人に知られている名曲が多い印象です。
恋人の犬がモデル『子犬のワルツ』
ショパンのピアノ曲といえば『子犬のワルツ』を思い浮かべる人も多いでしょう。フレデリック・ショパン(1810~1849)はポーランド出身。「ピアノの詩人」ともいわれるショパンの曲は、今も多くの人に愛されています。
軽快でありながら美しい旋律が印象的な『子犬のワルツ』(「ワルツ 第6番 Op.64-1」)は、ショパンの恋人ジョルジュ・サンドが飼っていた子犬がモデルだといわれています。
自分のしっぽを追いかけながら、くるくる回る子犬をイメージして作ったそうです。曲を聴くと愛らしい子犬の仕草が目に浮かんできますね。
不思議なタイトル『犬のためのぶよぶよした前奏曲』
『犬のためのぶよぶよした前奏曲』という不思議なタイトルのピアノ曲を作ったのが、フランスの作曲家エリック・サティ(1866~1925)。『ジムノペディ』『あなたが欲しい』などの多くの名曲を作りましたが、「変わった人」としても有名だったようです。
さらに『犬のための本当のぶよぶよした前奏曲』というタイトルの曲もあります。
サティは実際には犬を飼っていなかったものの、犬が好きだったそうです。ただし、この曲は犬のために作ったわけではなく、一説によれば当時の音楽界への皮肉だという意見もあります。
愛犬家のクラシック作曲家
犬を深く愛し、その存在が創作にも影響を与えたクラシック音楽の作曲家たちをご紹介します。作品の裏にあるエピソードに触れると、音楽の感じ方がより豊かになるかもしれません。
「超」がつく愛犬家、巨匠ワーグナー
巨匠ワーグナーは、「超」がつくほどの愛犬家として有名です。リヒャルト・ワーグナー(1813~83)はドイツのオペラ作曲家。『ニーベルングの指環』『タンホイザー』など数々の名曲を残し、現在も演奏され続けています。
どこに行くにも常に愛犬と一緒だったワーグナーは、今は愛犬のお墓と並んで眠っています。
逃亡する時も犬と一緒
波乱万丈の人生を送り、実は借金まみれだったというワーグナー。パリへ逃亡する際には、体重60キロもあるニューファンドランド犬を連れていたため、あらゆる馬車に断られてしまいます。
それでも諦めず、犬だけは絶対に手放しませんでした。ロンドン行きの貨物船に犬と共にどうにか乗り込むと、今度は嵐で遭難しそうになってしまいます。この状況を元にできた曲が『さまよえるオランダ人』だとされています。
作曲も犬と一緒にしていた
『犬と人の生物学』(スタンレー・コレン著 築地書館)によると、ワーグナーは作曲時に飼っていたキャバリア「ペップス」専用のスツールを置き、座らせていたそうです。曲の「調」によってペップスの反応が異なると気づき、作曲中はペップスの反応を見ながらフレーズを修正していたとか。
この本の著者であるスタンレーは、「犬には音楽の好みがあり、音楽のタイプによって異なった反応を見せることは、研究によって立証されている」と述べています。さらに、「クラシック音楽は犬を穏やかにする効果があるようだった」としているので、愛犬家の方は聴かせてみてはいかがでしょうか。
愛犬の名前を生涯最後の曲につけたエルガー
エドワード・エルガー(1857~1934)はイギリスの音楽家で、大の犬好きとして知られていました。エルガーの生涯で最後の曲となった『Mina(マイナ)』。この「Mina」とは、実はエルガーが飼っていた犬の名前です。
晩年に愛犬Minaを想って作ったこの曲は、美しく繊細な旋律であり聴く人の心に沁みていくでしょう。
音楽を理解していたブルドッグの「ダン」
エルガーも『犬と人の生物学』(スタンレー・コレン著 築地書館)に登場します。ロンドンにあるヘレフォード大聖堂のオルガニスト、ジョージ・ロビンソン・シンクレア医師とエルガーは友人でした。
エルガーは、シンクレアが飼っていたブルドッグの「ダン」をかわいがっていたそうですが、その理由は「ダンが音楽の良し悪しがわかっているから」。実際、音を外す聖歌隊の隊員に対し、ダンは唸り声をあげていたというのです。
ダンがきっかけで作られた名曲
エルガーの代表作、『エニグマ変奏曲』のうち第11変奏は、実はダンのために作られた曲でした。
川に落ちたダンは慌てて岸に上がります。体を震わせて水を切ったとき、そばにいたエルガーとシンクレアがびしょ濡れになってしまいます。
この出来事をシンクレアがおもしろがって「音楽で表現して」と言ったことがきっかけでできた曲が、第11楽章なのです。後世に残るエルガーの名曲には、犬の活躍があったのでした。
猫が関連するクラシックの名曲
ここからは、猫が関連するクラシックの名曲をご紹介します。興味深いことに、ご紹介する2曲はどちらも猫の鳴き声を楽器や声で表しています。
バイオリンが猫の鳴き声?『ワルツィング・キャット(踊る子猫)』
バイオリンの音色がまるで猫の鳴き声に聞こえるのが、ルロイ・アンダーソン作『ワルツィング・キャット』。子猫が本当に踊っているような軽やかなワルツに、気持ちも弾みます。最後は犬に吠えられて慌てて逃げる様子が演奏されている、ユーモラスな作品です。
作曲家であるルロイ・アンダーソンは、「20世紀アメリカ軽音楽の巨匠」と呼ばれています。クリスマスの定番曲『そりすべり』、運動会でおなじみの曲『トランペット吹きの休日』など、多くの作品を残しています。
歌詞は「ミャーオ」だけ『猫の二重奏』
『猫の二重奏』は、ソプラノ歌手とアルト歌手が2人で歌う曲。なんと歌詞は「ミャーオ」だけ。ひたすら2人が「ミャーオ」と歌い合うのですが、本当に猫が会話をしているように思えてくるから不思議です。
女性歌手2人の場合もあれば、男性歌手2人の場合もあります。動画サイトにたくさんアップされているので、歌手たちの豊かな表情にも注目してください。
愛猫家のクラシックの作曲家
猫をこよなく愛したクラシック作曲家をご紹介します。創作活動をするうえで、猫と過ごす時間は良い影響を与えていたことでしょう。
ピアノの練習曲で有名な作曲家のチェルニーは猫に囲まれていた
ピアノを習っている人なら、おそらく誰もが知っている作曲家「チェルニー」。実は、たくさんの猫を飼っていました。
多くのピアノの練習曲を作曲したカール・チェルニー(1791~1857)は、オーストリアの作曲家でピアニスト。チェルニーの練習曲は、今もピアノを習う人には欠かせません。
猫に囲まれていた天才作曲家
ベートーヴェンの弟子でもあったチェルニーは、3歳からピアノを弾き始め、7歳で作曲するほどの才能にあふれていました。しかし、人前で演奏することは好まず、内向的で生涯独身を通しました。
ただ、彼はいつも7~9匹もの猫に囲まれていたそうです。チェルニーの孤独を癒やす存在は猫だったのかもしれません。
チェルニーは、なぜか猫を飼っていたことを自伝に残していませんが、愛猫家だったことを弟子が明らかにしています。家族が猫嫌いなのに、チェルニーから子猫を譲り受けて困った弟子もいたそうです。
まとめ
クラシック音楽の中には、犬や猫をイメージした名曲があります。名曲の影に犬や猫の活躍があると考えると、楽しいですね。愛犬家・愛猫家だった作曲家の曲を改めて聞いてみると、これまでと異なる印象を持つかもしれません。
犬は音楽を聴き分けるという意見もあるので、愛犬家の方は一緒に聴いて反応をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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